1996年の東京オートサロンは、大きな変革の幕開けを告げる役割を果たした。オートサロンを目前にした1995年11月、運輸省から道路運行車両法(通称:車両法)の改正が公布されたからだ。クルマの構成部品に関する取り扱いの、いわゆる規制が大幅に緩和され、これまで純正部品や純正同等品以外への交換が違法とされてきた部品の交換が、ユーザーの責任においてという前置き付きで自由化された。同時に車検の検査内容も、大幅に緩和される事になった。パーツメーカーはもちろん、ユーザー自身も従来の考え方を大きく変えなければならなくなったのだ。

TOKYO AUTO SALON 1996
MAZDASPEED、NISMO、TRDの3社は、東京オートサロン共同出展の3年目を迎えるに当たり、業界に先駆けて、この新車両法の対応の仕方をテーマに据えた。「新車両法によってクルマの改造が自由になったということは、何をやっても良いということではない。改造に伴うリスクは、全面的にユーザーが負担する事になった。ワークスチューニングメーカーには、安全で、正しく、かつ効果的なチューニングを提案する義務がある。」という考え方だ。
 この年のワークスチューニング3社が出展した展示車両は、全てこの新車両法を強く意識し、3社の統一見解に基づいた各社なり考え方を投影し、開発された。一般ユーザーの日常ユースに関する身近なチューニングから、ワークスチューナーだからこそできる大胆な発想まで、新時代を先取りした各社の提案を幅広くプレゼンテーションした。
 3社がこの時展示した計6台のチューニングカーは、下記の各社ロゴをクリックすると見ることができる。

(注:この記事は、当時のPOWERAXELウェブサイトのコンテンツを原文のまま再構成したものです。)

区切り線

TRD
TRD CURREN STREET Ver.
トヨタビスタチャネル15周年記念車として限定発売された「カレンTRDスポーツ」に、さらにTRDスポーツパーツを組み込むことにより、ストリートにおける2リッターNA最速クーペに変身している。外観は、精悍なTRDスポーツ用エアロカウルと17インチホイールでまとめ、新開発の車高調整式ショックアブソーバーを装着することにより、最低地上高9cmのクラウチングスタイリングを実現している。また、エンジンにもライトチューニングを施し、ブレーキには16インチのハイパフォーマンスブレーキキットを採用するなど、機能面でのトータルチューニングに細心の注意を払っている。

主な変更点
TRD CURREN STREET Ver.
エクステリア エアロバンパー、リヤウイング(3段調整式)
サスペンション 車高調整式ショックアブソーバー&スプリングセット、アッパーサポート、ブッシュ、ストラットタワーバー
駆動系 クラッチ、ヘリカルLSD
制動系 ブレーキローター、キャリパー、パッド、ライン
エンジン系 エアフィルター、プラグコード、マフラー
インテリア ステアリングホイール、フルスケールスピードメーター、カーボンインパネ、クイックシフト
ホイール ALUMI-K 8JJx17


TRD LEVIN STREET ver.
トヨタ伝統のライトウエイトスポーツ、「レビン」の名にふさわしい戦闘能力とルックスをTRDが与える事により、TRDが誇る高い技術力を披露する。TE27時代からレビンのチューニングに携わってきたTRDだからこそのデータの蓄積が、このAE111レビンに息づいている。「流麗かつ攻撃的なエアロカウル」、「地を這うローフォルム」、「強大な制動力でクルマをコントロールするブレーキシステム」の3つのテーマを具体化した。

主な変更点
TRD LEVIN STREET Ver.
エクステリア エアロバンパー、リヤウイング(3段調整式)
サスペンション 車高調整式ショックアブソーバー&スプリングセット、アッパーサポート、ブッシュ、ストラットタワーバー、スタビライザー
駆動系 クラッチ、メカニカルLSD
制動系 ブレーキローター、キャリパー、パッド、ライン
エンジン系 エアフィルター、マフラー、プラグコード
インテリア ステアリングホイール、フルスケールスピードメーター、カーボンインパネ、クイックシフト
ホイール ALUMI-K 7JJx16


区切り線

MAZDASPEED
MS-007
レースカーを運転する喜びを、公道上でも満喫できるライトウエイトスポーツカー」をテーマとして開発されたプレゼンテーションモデル「MS-007」。専用開発の超軽量2シーターオープンボディに、マツダ製BP型1800cc自然吸気エンジンを搭載して後輪を駆動する。レースカーやチューニングパーツの開発で経験を重ねた、感覚に訴えるチューニング技術を盛り込んだ本格的スポーツカーで、一般の量産車にはできないエンスージアスティックな操縦感覚を実現している。

主な諸元
MAZDASPEED MS-007
シャシー FRPコンポジットモノコック+前後サブフレーム
サスペンション フロント:プッシュロッド
リア:ダブルウィッシュボーン
エンジン マツダBP-ZE 排気量:1,839cc 最高出力:130ps
駆動装置 クラッチ:乾式単板ダイアフラム
変速機:前進5段後退1段
差動装置:トルセンLSD
寸法・重量 全長:3,594mm
全高:1,105mm
全幅:1,676mm
ホイールベース:2,286mm
乗車定員:2名
車両重量:650kg


RX-7 B-SPEC.
これまで、保安基準適合品をA-スペック、改造申請などの公的手続きや申請が必要なハイパフォーマンスパーツをB-スペックと呼称していた。車両法の改正でその境界は取り払われてしまったが、気軽なライトチューン=A-スペック、本格的パフォーマンスチューン=B-スペックという考え方は不変である。ピュアスポーツRX-7にB-スペックチューニングのプレゼンテーションモデルがこのRX-7 B-スペックだ。エンジンチューニングを中心にストリート考えられる可能な限りのスペックを盛り込んだ。

主な変更点
MAZDASPEED RX-7 B-SPEC
エクステリア フロントノーズ、サイドスカート、リアウイング
サスペンション 車高調整式ショックアブソーバー、ローダウンスプリング、スタビライザー、ブッシュ、ストラットバー
駆動系 ツインプレートクラッチ、LSD、ファイナルギア
制動系 大径ローター、専用キャリパー、パッド、ライン
エンジン系 セラミックアペックスシール、インタークラー、ラジエター、専用ECU、クロモリフライホイール、エアフィルター、オイルクーラー、マフラー
インテリア ステアリングホイール、シフトノブ、ダッシュパネル、スポーツシート
ホイール MS-02 F)8Jx17 R)9JJX17


区切り線

NISMO
NISMO 400R GT2 proto
いよいよかねてから予定していた400馬力を発生する最強のGT-R、NISMO 400Rが発売秒読みとなった。この年のプロトの仕様は、PB-X・GT2と呼ばれるエンジンが特徴的だ。N1レース用強化シリンダーブロック、N1用タービンなどレースからのフィードバックをふんだんに盛り込み、その他エンジン本体及び補器類に至るまで、手の入れていない箇所はない。前年のプロトからは、外観的にはフロントグリルのデザインが変更され、さらにアグレッシブになった。また、新車両法を受けてオーバーフェンダーを装着したことで、エクステリアの印象をより「強そう」なイメージに変えている。このモデルが400R市販スペックの最終仕様となった。

主な変更点
NISMO 400R GT2 PROTO
エクステリア フロント&リアバンパー、フロントグリル、サイドスカート、リアウイング、オーバーフェンダー
サスペンション ショックアブソーバー、スプリング、スタビライザー、ブッシュ、フロントリンク
駆動系 ツインプレートクラッチ、電子式LSD、クイックシフト
制動系 ブレーキパッド、ブレーキライン、マスターシリンダーストッパ
エンジン系 タービン、ECU、スポーツ触媒、サブラジエター付きオイルクーラー、オイルポンプ、インタークーラー、フューエルポンプ、エアフィルター、マフラー
インテリア ステアリングホイール、シフトノブ、オリジナルシート、フルスケールメーター
ホイール LM-GT1 9.5JJx18


P11 PRIMERA with NISMO AERO
大ヒットとなった初代プリメーラがフルモデルチェンジしたことに伴い、JTCCレースカーの開発を担当するNISMOのストリートパーツ班が開発したチューンドプリメーラがこれだ。エンジンは、ノーマルのSR20DE型2000ccだが、新車両法を捕らえて、車高ダウン用スプリングとそれにマッチする減衰力4段調整式ショックアブソーバーを装着している。バランスのとれたシャシーレイアウトを誇るプリメーラを「大人のスポーツセダン」として演出したい。

主な変更点
P11 PRIMERA with NISMO AERO
エクステリア フロントグリル、フロントバンパー、サイドスカート、リアスポイラー
サスペンション ショックアブソーバー、スプリング、ストラットバー、ブッシュ
駆動系 ツインプレートクラッチ、メカニカルLSD、クイックシフト
制動系 ブレーキパッド、マスターシリンダーストッパ
エンジン系 ECU、ピストン、バルブシステム、オイルクーラー、エアフィルター、エキゾーストマニホールド、マフラー
インテリア ステアリングホイール、シフトノブ、オリジナルシート、コンビメーター
ホイール LM 7JJx17


(注:この記事は、当時のPOWERAXELウェブサイトのコンテンツを原文のまま再構成したものです。)