ワークスチューン試乗会
合同試乗会に持ち込まれたワークス各社のデモカーに試乗してみると、それぞれの会社の考え方や、同じ会社のデモカーでも全く異なるコンセプトで開発されており、実に多彩だ。そこで、『クルマを観て、乗って、弄って楽しむ!』をキーワードに、各社の考え方や、具体的な商品への落とし込み、そして将来ビジョンについて、商品企画および開発担当者の方々お集まりいただき語っていただいた。


クルマを見て、乗って、弄って、楽しむために。

まず、「クルマを楽しむ」ためにどのような活動を現在されていますか?
川口さん:
マツダ
基本は「ズーム!ズーム!」ですよ(笑)。例えば、体で感じる部分。運転して楽しむ部分と見て楽しむ部分ですよね。クルマ好きの中には、走りを楽しむ人と乗っていること自体が楽しいという人がいます。もちろん、性能がきちんと確保されていることも重要ですが、自分なりに見た目も変えるということも非常に重要な楽しみ方だと思うんですね。クルマで若さを表現できる、それなりの心を持った人へのメッセージです。
兼平さん:
ニスモ
こスモは、「乗って楽しい、観て楽しい、所有して楽しい」の3本柱でモノ造りをしています。まず乗って楽しいことが基本で、他の2つの要素を入れたモノ造りをしています。それと重要なことは、ベース車のキャラクターに合わせた造りこみをしています。例えば、車種によってはかなり乗り心地を重視したサスペンションにしたり、あるいは反対にかなり走りに振ったりしています。
六本木さん:
ラリーアート
手前からマツダ川口さん、ニスモ兼平さん、ラリーアート六本木さん手前からマツダ川口さん、ニスモ兼平さん、ラリーアート六本木さん
ラリーアートはモータースポーツ活動がベースなので、そのノウハウを市販パーツにフィードバックしています。例えば、サングラスなども実戦での使い勝手をフィードバックしたかなりコダワリの一品なんです。そうした中から、クルマの楽しみ方を見出していただければいいな、と思っています。一方で、クルマの学校というペーパードライバー向けの運転講習をやるなど、ハードとソフトの両面からクルマを楽しんでもらえる要素を提供しています。


広瀬さん:
無限
無限は、クルマを軸としたモノ造りを行っています。最近は新車に連動して、個々のクルマに合ったコンセプトやターゲットを決めて開発していますね。結果的に似たようなモノもありますが、必ず、そのクルマに対して考えたモノなんです。商品を軸とした開発手法もありますが、無限では必ず、そのクルマに対して何が必要でどういう味付けにするかを考えています。
神作さん:
STI
STI は、まずコンプリートカーありきでパーツを開発しています。クルマとして、操る楽しみをアピールしています。コンプリートカーについては、「S」シリーズも造り続けますし、「tuned by STI」シリーズも毎年リリースしていくつもりです。まず、クルマとして楽しんでいただきたいですね。その上で、パーツやウェア&グッズで楽しいカーライフをおくっていただけたら、良いなと思っています。
上村さん:
TRD
手前からTRD上村さん、STI神作さん、無限広瀬さんと山崎さん手前からTRD上村さん、STI神作さん、無限広瀬さんと山崎さん
最近は、クルマの楽しみ方が多様化していると思いますね。したがって、TRDではガンガンに走るだけではない、別の楽しみ方を提案しています。例えば、スポルティーボシリーズなんかも、より多くの人にクルマを楽しんでもらうための展開なんです。もちろん、サスペンションだけでなく、周辺の目に見える部分や手にふれる部分の味付けもクルマ毎に考えています。


では、今後についてお聞かせください。
川口さん:
マツダ
最終的には、パーツ単体ではなく、クルマとして楽しんで欲しい。だから、コンプリートカーを目指しています。
兼平さん:
ニスモ
今は、チューニングを良く知った人向けのパーツが多いですが、今後はより多くの人に受け入れやすいパーツも展開していく予定です。それと、やはり「走る場」の提供ですね。ハードだけではなく、ソフトも充実させていきますよ。
六本木さん:
ラリーアート
ワークスチューニング座談会
ラリーアートも、「走る場」の提供など、ソフト面を今以上に充実させたいですね。繰り返しになりますが、ハードとソフトの両面からクルマを楽しめる要素を提供していきたいですね。
広瀬さん:
無限
無限は毎年、東京オートサロンでコンセプトカーを展示しています。無限として最先端の技術を前面に押し出したコンセプトモデルです。将来的には、このコンセプトモデルに近い形で実現できる方向に持っていきたいですね。
神作さん:
STI
インプレッサの本流を極めたようなコンプリートカーはやりたいですね。「S」シリーズでも「tuned by STI」シリーズでもない、もっと走りにふったクルマですね。もちろん2つのコンプリートカーシリ-ズも造り続けます。
上村さん:
TRD
TRDでは、ヴィッツのレースやラリーをやっています。特にレースは今年からレギュレーションを大きく変更して、より多くの人が気軽に参加できるように門戸を広げました。今後も、そういった環境を整えていきたいですね。


どうやら、ソフト面の充実も一つのテーマのようですね。
兼平さん:
ニスモ
そうですね。NISMOは会社の方針も大きく変わって、これからはユーザーサポートにもっと力を入れていきます。
六本木さん:
ラリーアート
ペーパードライバー向けの「クルマの学校」というのをやっていますが、その上にCMSCの全国大会があって、そこでジムカーナ大会などもやっていて好評なんです。今後もこうしたサービスをもっと充実させていきます。
広瀬さん:
無限
ワークスチューニング座談会
「無限サーキットチャレンジ」というイベントを今も行っています。GTドライバーを呼んでドライビングレッスンや、無限スタッフによるセットアップ講座などもやっています。特に、バケットシートやマフラーなど装着が簡単なパーツについては、現地で試せる体験試着をやっているんですが、これが好評ですね。今後も、もっと充実させていく予定です。
川口さん:
マツダ
マツダも、ロードスターのナンバー付きレースをやっています。それと、年3回のマツダスピードカップというサーキットイベントをやっていますが、それこそ、デミオやミニバンでサーキットを楽しみに来る方がいるんですよ。
神作さん:
STI
「S」シリーズなどのコンプリートカーをだしていますし、やはり高出力なクルマを走らせる場の提供は必要だと感じています。今、検討をしているところなんですよ。
上村さん:
TRD
より多くの人に気楽にモータースポーツに参加して欲しいですね。

さて、お話をうかがっていると、いずれのワークスも、ハード面ではベース車のキャラクターに合わせた、クルマとして仕上げることを狙っている。一方、「走りを楽しむ」場の提供も重要なテーマとして掲げている点も見逃せない。つまり、ハードを楽しむためのソフトの充実だ。時代は、まさにハードからソフトへと移り変わろうとしている。今後の、各社の動きに注目したい。